パークタイムス3月4月
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晴れがましさと寂しさ社会人への旅立ちの時 雪解けの庭園から春の光が注ぐフロア。 妻が小声で息子を叱る。〝いつまで注意させるのよ〟。サラダを取ろうと伸ばした真新しいスーツの袖が、今にもスープに触れそうになっている。 自分の希望する分野にこだわり、卒業間際にようやく就職先が決まった息子。本人よりも気を揉んでいたのが妻だ。社会人への旅立ちを祝うために選んだホテルのテラス風レストランで、相変わらずの仕草にため息をつく。 給料が出たら、部屋を予約して二人を招待したい。息子の申し出に、妻が目を見開いて、私を見る。いつの間にか成長していた姿に驚いたという表情のなかに、母親としての心配が、やがて届かなくなる寂しさが混じっていた。PARK StoryStory 01社会への第一歩/昇進・昇格祝い■表紙のお料理/作:景井 賢司心に刻む、想い出が生まれる。

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